夢の痕 ″どうしても叶えたい願いがあった″ ″そのために俺は、ここまでやってきたんだから″ そう自分に言い聞かせないといけなくなったのは何でだっただろう。 俺はいつの間にか、あの時代に留まっていられる理由を探してた。 『千昭っ!!』 真琴、悪ぃ。 俺、お前との約束破ってばっかだよな。 でも、……信じてもらえねーだろぉけど、おまえへの気持ちはほんとだったんだぜ。 初恋、っつうのか。 正直よくわかんねぇーけど。 それでも何かに熱くなったことのない俺が、毎日あたふたしまくるぐらいにはさ。 (あー、なに言い訳してんだ俺) もう誰もいないってのに。 言い訳したかったわけじゃない、謝りたかったわけでもなくて。 ただ、君に伝えたいと思った。 それだけで。 俺はこれからも生きていける。 土のない、川のない、雨のない、………蒼い空の失われたこの時代でも。 おっかしいよなぁ。 最初はさ、あの絵を観るためだけの旅のはずだったのに。 いつの間にか夏になってた。 時間がこんなにも早く過ぎてくなんて思わなかった。 ″戻る″のは簡単だけど。 前を向いて、進んでく事だけができなかった。 |