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 楸瑛×絳攸 ,  〜 貴方の温もり 〜
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肢体を包んでいた温かな熱が、ゆっくりと離れていくのを感じて、絳攸は思わずそれをたぐり寄せた。

「んっ、」

「おや、すまないね。起こしてしまったかい?」

「しゅ、えい?」

「おはよう絳攸。」

満面の笑みを浮かべながら静かに近づいてきた楸瑛に、寝起きで頭が働かずその口付けを受け入れた。
そのまま舌を吸われ口内を蹂躙される。
その動きに翻弄されて、否が応でも昨日の醜態が頭に浮かび慌てて覆い被さってくる男を押しのけた。

「んっ、はぁ、あ、朝から盛るな!!この万年常春頭っ!」

息を整えるまもなく怒鳴ってから後悔した。
しまった、結局こいつの思うつぼだ。

共の過ごした夜の翌朝は、恥ずかしくてまともに顔など見ないのに。

「あはは、その様子なら大丈夫そうだね。良かったよ。」

「はっ?何がだ、」

「だって、」

いつもなら、出仕の時間まで布団にくるまって全然顔を見せてくれないから。

「自制が効かずに、辛かったのかな?ってね。」

にっこりと珍しく心から爽やかな笑みを見せて微笑む男の顔なんか、やはり見なければよかった。
昨日あれだけ喘がされてとんでも無い単語を連呼して、 何故またこんな朝っぱらから、こんなにも心臓に悪い思いをしなくちゃならないんだ。

全くもって不公平だ!

「な、ならもう少し優しくしろっ!」

「う〜ん、努力はしてるんだよ?でもねぇ、」

そう言いつつ身体を寄せてくる男の肩をどうにか押さえながら、腰に回された腕を払おうとする。

「・・・・・・・・なんだ、」

「君の、快楽に濡れた姿って予想以上に煽られるんだよ。」

さらりと言われた一言に、起き抜けの頭は瞬間的に停止した。

すでに先ほどとはまるで違う悦びに顔を綻ばせる楸瑛に、本能が警鐘を鳴らす。

「ばっ、誰がそんな顔をしているかっ!!」

「うん、本当に元気だね、絳攸。元気だから、」

もう一回くらいいけるかな?

そう言って、身体を密着させた状態で俺の耳に顔を近づけてくる。

ああ、くそっ。だからこいつは嫌いなんだ。

俺は余裕なんて皆無なのに、なにが自制だ。
密事の最中でも最後まで薄ら笑いを解かないくせに。
お前が快楽だけを汲み取って、それに溺れた事なんて一度もないだろうが。

いつだっていつだっていつだって、俺が痛いと言えば簡単に怯むのに。

「ああ!もう勝手にしろっ!!」

やけくそに叫んでやった。

その反応に楸瑛は少し驚いていたが、一流の妓女ですら惚れ込む顔に満面の笑みを浮かべると、 「じゃあ、」と言って俺の胸に飾りに顔を埋めた。


2006/10/09   By 蔡岐

【宿花 , "貴方の温もり" …「何でもありな100のお題」より 】