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NARUTO カップリングなし , 〜 アリストテレスの偉業 〜
   ※ 四代目&ナル母ご存命でです、苦手な方はスルーの方向でv
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「だぁ〜〜!!寝坊したってばよぉ〜。」

朝から頭上で聞こえる奇声に、台所に立っていた女性は小さく微笑んだ。
おそらくもうすぐあの子と同じく朝に弱い夫もあたふたしながら起きてくるだろう。
結婚してからナルトを産んだ後も続けられる毎朝に、 最初は精一杯直そうと努力していたのだが、今ではもう無駄だと諦めている。

案の定ドタドタと階段を下りる音に、そんなに慌ててどうして落っこちないのかしら? と考えるのもいつものことだ。
まぁ、息子に言おうものなら「忍者が階段踏み外したりしないってばよっ!」と息巻かれるので、 実際に口に出していってみたことはほとんど無いのだが。

「母ちゃんっ、ご飯早く!!」

「はいはい、出来てるから。ナイトキャップははずしなさい」

そう言うと、「あっ!」と急いで脱いで、食卓の横に置く。その時。

「ナルくぅ〜〜ん!!!ごめんねっ、また起こすの忘れてた!!」

「父ちゃん!!いい加減に、まともに起きて欲しいってばよ!」

「ごめん!今日は目覚まし時計5つもかけてたのに、いつの間にか壊れてて…………、」

その言葉にまた少し頭が痛くなってきた、一体うちはいくら目覚まし時計を買ったらいいのかしら。
壊れた、のではなくあなたが壊したんでしょう。

「もう、そればっかじゃねぇか!」

「うっ、…………」

息子からの冷たい視線に底なしに沈んでゆく夫は、 はっきり言って家の外での火影としての威厳など微塵もない。 家族団欒の時くらい素でいてもらいたいが、何もここまで崩れてほしいとは思っていない。

(仕方ないわね、)

このままではさすがにこの人が可哀想だ、

父親というのは息子には格好良く映っていたいものだし。

「ナルト、もうそろそろ行かないと集合時間、間に合わないんじゃない?」

「え?……あっ!そうだってばよ!忘れてたっ」

「うわホントだ。ナル君、送ってくよ!早く掴まって!!」

「う、うん」

微妙な顔をしつつ、それでも父の腰を掴むナルト。
それを見て頷くと、此方を見てにこりと満面の笑みを浮かべて。

「それじゃ、行って来ます!!」

そう言うと、あっという間に瞬身の術でいなくなってしまった。

(本当に、)

毎朝こんな騒がしさでは堪らない。
………………けれど、これがなければきっと寂しいことも知っているから。

「そういえば、あの人、寝間着のまま言っちゃったわ」

あらあら、これじゃまたカカシ君にお小言を言われて、 サスケ君とサクラちゃんに白い目で見られるわね。と他人事のように考えた。



2006/10/10   By 蔡岐

【宿花(閉鎖されました) , "アリストテレスの偉業" …「何でもありな100のお題」より 】